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遺伝子変異からみたニホンザルの成立と分布域の展開

研究課題

研究課題/領域番号 09640835
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 人類学(含生理人類学)
研究機関京都大学

研究代表者

川本 芳  京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (00177750)

研究期間 (年度) 1997 – 1998
研究課題ステータス 完了 (1998年度)
配分額 *注記
900千円 (直接経費: 900千円)
1998年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
キーワードニホンザル / ミトコンドリアDNA / 地域変異 / 分布域 / 環境変動 / 氷河期 / 寒冷適応 / 遺伝分化 / 制限酵素 / Dループ / 塩基配列 / 地域個体群 / 古分布 / 東北地方
研究概要

母性遺伝するミトコンドリアDNAにみられる地域変異を各地のニホンザルで比較した。81地点由来の合計105個体について、Dループ領域の412塩基配列を解読した。この結果、43種類のタイプを区別した。クラスター分析を行った結果、ニホンザル全体は東日本と西日本の2つのグループに大別できた。両グループの境界は近畿地方と中国地方の境界付近にあると予想された。なお例外的に、奥多摩・秩父のサルは東日本に分布するものの西日本グループのクラスターに属していた。一般的にミトコンドリアDNAの変異は特定箇所に局在化する傾向が強い。しかし、東北地域では例外的にひとつのタイプが広範囲に分布している。また、東日本のタイプ間では相互の塩基置換数が西日本のタイプ間の場合にくらべて少ない傾向が認められた。日本列島に生息するニホンザルの地域個体群にこうしたミトコンドリアDNAの東西分化があることは、ニホンザルの成立や分布地域の変遷と深く関係すると考えられる。ニホンザルは母系社会をもち、移住パターンの性差が著しい。一般に、オスは成熟に達する前後で出生群から拡散するのに対して、メスは群分裂を介してしか他処へ移住しない。つまり、この遺伝子は群分裂の経過を反映することになる。母性遺伝するミトコンドリアDNAにおいて、地域個体群間の分化が西日本にくらべて東日本で低いことは、東日本における分布地域の変遷や拡大が時間的に新しく、その影響が残りやすかったと解釈できる。特に、東北地域では極端に限られたタイプしか身いだせないことから、最終氷河期以降に祖先が急激に北上したことを反映した結果と考えられる。ニホンザルはヒトを除く現生霊長類の北限に分布し、寒冷適応を遂げている。しかし、その成立過程では、温暖化の時期には分布地域を北部あるいは高地へ拡大させ、寒冷化の時期には南部あるいは低地へ変えてきたのが実態であろう。

報告書

(3件)
  • 1998 実績報告書   研究成果報告書概要
  • 1997 実績報告書
  • 研究成果

    (12件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (12件)

  • [文献書誌] 川本 芳: "関東甲信越地域のニホンザルの遺伝的多様性"ワイルドライフ・フォーラム. 4. 53-55 (1998)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1998 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 川本 芳: "和歌山県におけるニホンザルとタイワンザルの混血の事例"霊長類研究. 15. 53-60 (1999)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1998 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 川本 芳: "遺伝子からみたニホンザルの成立"科学. 69. 300-305 (1999)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1998 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 川本 芳: "遺伝子から見た金華山のサルの特徴"宮城県のニホンザル. 11. 19-27 (1999)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1998 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Kawamoto, Y.: "Genetic diversity of Japanese macaque populations in the Kanto-Koshin'etsu districts"Wildlife Forum. 4(in Japanese). 53-55 (1998)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1998 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Kawamoto, Y.: "A case of hybridization between the Japanese and Taiwan macaques found in Wakayama prefecture"Primate Research. 15(in Japanese). 53-60 (1999)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1998 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Kawamoto, Y.: "Founding of Japanese macaques inffered from genes"Kagaku. 69(in Japanese). 300-305 (1999)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1998 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Kawamoto, Y.: "Characteristics of monkeys on Kinkazan Island inffered from genes"Miyagiken No Nihonzaru. 11(in Japanese). 19-27 (1999)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1998 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 川本 芳: "関東甲信越地域のニホンザルの遺伝的多様性" ワイルドライフ・フォーラム. 4・2. 53-55 (1998)

    • 関連する報告書
      1998 実績報告書
  • [文献書誌] 川本芳、白井啓、荒木伸一、前野恭子: "和歌山県におけるニホンザルとタイワンザルの混血の事例" 霊長類研究. 5・1(印刷中). (1999)

    • 関連する報告書
      1998 実績報告書
  • [文献書誌] 川本 芳: "遺伝子からみたニホンザルの成立" 科学. 69・4. 300-305 (1999)

    • 関連する報告書
      1998 実績報告書
  • [文献書誌] 川本 芳: "ミトコンドリアDNA変異を利用したニホンザル地域個体群の遺伝的モニタリング" ワイルドライフ・フォーラム. 3巻・1号. 31-38 (1997)

    • 関連する報告書
      1997 実績報告書

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公開日: 1998-04-01   更新日: 2016-04-21  

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