研究概要 |
1. SmFe_<12>/α-Fe系高配向ナノコンポジット薄膜の作製 基板加熱スパッタを用いて、結晶配向したsmFe_<12>(ハード相)と、α-Fe(ソフト相)からなるナノコンポジット薄膜を作製し、その配向と磁気特性の関係を調べた。以下にその概要を記す。 (1),sub/Ti/(SmFe_<12>、α-Fe)/Ti膜:ナノコンポジット組成を得たが、SmFe_<12>相の配向は膜中のα-Feの体積比V_<Fe>が増加するにつれて、(001)配向から(101)配向と(001)配向の混合相へと変化した。V_<Fe>〜6%において保磁力にピークがみられ、このとき(BH)_<max>も極大をとった。(2),sub/(SmFe_<12>,α-Fe)/Ti膜:下地層のTiを取り除いた結果、V_<Fe>〜50%まで(001)配向が良く保たれ、ハード相であるSmFe_<12>が結晶配向した3次元分散型ナノコンポジット磁石をはじめて作製することができた。保磁力はV_<Fe>〜25%まで増加傾向を示しその後減少した。(BH)_<max>もV_<Fe>〜25%で極大をとり、(BH)_<max>=20MGOeを得た。(3),保磁力増加の傾向を説明するために、ハード相が配向したナノコンポジット磁石での計算機シュミレーションを行った。その結果ハード相間の結合力を弱く、ハード-ソフト相間の結合力を強くした場合に保磁力の減少率が抑えられ、実験に近い傾向を示すことがわかった。 2. 強磁場中熱処理によるNd-Fe-Co-B系ナノコンポジット薄帯の作製 液体急冷法により得られたアモルファス薄帯を強磁場中で熱処理・結晶化することで結晶軸配向の可能性を検討した。対象とする系は、ハード相:Nd_2(Fe_<1-x>Co_x)_<14>B、ソフト相:(Fe_<1-x>Co_x)とした。現在のところ熱処理温度T_aがT_cより低い場合では、磁場中熱処理によってハード相Nd_2Co_<14>Bの体積分率が増大すること、それに伴って保磁力が増えることが明らかになっている。しかしハード相の結晶軸分布ははランダム配向から有為な変化を示していない。
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