研究概要 |
高周波マグネトロンスパッタリング法を採用し、複合金属酸化物透明導電膜の作製技術を確立した。Zn_2In_2O_5-ZnSnO_3,Zn_2In_2O_5-In_4Sn_3O_<12>,及びZnSnO_3-In_4Sn_3O_<12>系のアモルファス複合金属酸化物において,ITO薄膜に匹敵する抵抗率を有する透明導電性薄膜を実現した。In_2O_3-SnO_2系及びIn_4Sn_3O_<12>,において最も優れた高温耐性が実現できることを明らかにした。また,In_2O_3に対するAg_2Oの添加効果を調べる中で,P形伝導を示すIn_2O_3-Ag_2O系透明導電膜を実現し,大気中500℃までの高温耐性を確認した。さらに研究の過程で、複合金属酸化物透明導電膜の仕事関数の組成依存性を明らかにした。そして、複合金属酸化物透明導電膜の高温耐性は、基本的には膜を構成する金属元素に支配され、膜組成、特にSnの組成比によって制御でき、高温基板上に作製するほど改善されることを明らかにした。具体的には、各種雰囲気中,約800℃までの高温下での金属酸化物透明導電膜の抵抗率の増加は,結晶粒界での酸素の吸着が原因の粒界散乱が原因であり、Znを含む膜ではSnやInと比較して、結晶粒界、すなわちZnの未結合手に酸素が吸着し易いため、粒界散乱が支配的となり、酸化性ガス雰囲気中では低温でも抵抗増加を生じることが分かった。以上の研究成果として、本研究の目的である“大気中で600℃まで"、もしくは“真空中および不活性ガス中で800℃まで"電気的特性および光学的特性が劣化しない高温使用耐性に優れた透明導電性薄膜の実現は、Snを多く含む組成の複合金属酸化物透明導電膜を高温基板上に作製することにより実現できることを明らかにした。
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