研究概要 |
屈折率が光強度に依存して変化する非線形光学効果をもつ光導波路中の非線形導波光に対してCW光伝搬,パルス光伝搬,さらには,最近,理論的にはもちろんのこと,実用的見地からも関心が高まっている時間ソリトン,空間ソリトン,時空間ソリトンなどの光ソリトン伝搬のいずれにも対応可能な統一的な基礎理論を構築するとともに,これに基づいて非線形導波光シミュレーションのための新しいビーム伝搬法を開発することを目的として研究を進め,下記の成果を得た. 1. 非対称構造の非線形光ファイバカップラの論理演算特性に与える3次分散を含めた摂動効果の影響を理論的に調査し,摂動効果の存在によって論理演算動作特性が著しく劣化することを明らかにした.また,こうした特性劣化を防ぐために,分布定数形利得帯域制限増幅器を用いることを提案し,増幅器の利得や利得帯域幅を適当に調整することによって,光論理回路デバイスとしての動作特性の安定化が可能であることを示した。 2. 3次元非線形光導波路解析のためのスカラ近似に基づくビーム伝搬解析アルゴリズムを新たに開発するとともに,光ファイバと非線形薄膜からなる3次元構造の光論理ゲートを新たに提案し,その論理演算機能を明らかにした. 3. 非線形光導波路解析のためのビーム伝搬解析のなお一層の高性能化を図るために,広角ビーム伝搬に対応するためのパデ式,解析領域端からのスプリアス反射防止のための透明境界条件と完全整合層条件,参照屈折率と空間メッシュをアダプティブに更新するさまざまな周辺技術の導入を行った.
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