研究概要 |
2台のシーダー付きNd:YAGレーザから発振された2波長(1064,1319nm)のレーザ光をLBO非線形結晶で和周波をとり,NaD_2共鳴線である589nmを射出する送信システムの構築を行った.特性は,NaD_2共鳴線のドップラー広がりを観測できる超狭帯域スペクトル幅(100MHz,0.1pm以下)を持ち,繰り返し10Hz,パルスエネルギー40mJ,パルス時間幅30nsを得た.波長同調幅は,シーダーレーザの温度制御により,80pmの範囲で可能となっている. ライダー受信系は,Dall-Kirkham Cassegrain型望遠鏡(直径0.5m)をベースに,3チャンネル(589532,1064nm)のそれぞれが独立した光子計測法による計測システムの構築を行った. 上記システムにより,中間圏ナトリウム原子層のテスト観測(波長掃引は,シーダーレーザの温度制御により実施)を行い,高度プロファイル及びドップラー広がりからの温度分布の観測が可能であることを実証した.これらの成果については,第19回レーザレーダ国際会議(Julr 6-10,1998,Maryland,USA)およびSPID国際会議(Optical Remote Sensing for Industry and Environmental Monitoring,Sept.15-17,1998.Beijing,China)等で発表を行った. AOモジュレータを用いた高速波長スキャンに関しては,基本的な動作確認にとどまり,実際の実用観測テストまで進めることができなかった.理由は,レーザ本体の納入が予定より2ヶ月遅れ,またライダーシステムは,第40次南極地域観測隊で1998年11月14日に砕氷船「しらせ」により南極昭和基地に輸送されたため,AOモジュレータに関する実験期間を確保できなかった.1999年3月から昭和基地で本ライダーシステムの設置が始まり,これらの基礎データの実験を含む観測実験が4月か5月頃から行われる予定である.
|