研究概要 |
今年度は、近接外部共振型波長可変半導体レーザの微小梁(外部共振ミラー)の変位拡大と波長可変範囲の拡大を目的とした。 (1) レーザに一体集積された微小梁の光熱変位では、昨年度得た3層バイモルフ梁の光吸収率を向上するため、反射防止膜(Au/Si3N4/Au)を設計し、光吸収率をほぼ100%まで増大させた。この結果、GaAs系では、Au26nm,Si3N4 223nm,Au100nm,Si3N4 100nm,GaAs2000nmで光吸収率99%、変位546nm(λ/2=415nm)、InP系ではAu16nm,Si3N4 366nm,Au100nm,Si3N4 100nm,InP2000nmで光吸収率98%、変位902nm(λ/2=630nm)の最終的な5層膜設計案を得た。 (2) 波長可変範囲の拡大では、微小梁側の半導体レーザ端面に反射防止膜を付与し、レーザの発振メカニズムや波長を実験解析した。その結果、波長可変半導体レーザの動作条件として、 i)外部共振器長を短く、ii)外部ミラー反射率を大きく、iii)I/Ith≧1.4の駆動電流などの強光帰還が有効であることを明かにした。 (3) 理論解析では、外部共振器の光結合効率、実効反射率などを各種の構成について計算した。今後は帰還光の、半導体レーザキャリア密度、利得スペクトル形状、屈折率などへ及ぼす影響を分析する予定である。
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