研究概要 |
ホログラムメモリー媒体の一つとしてフォトリフラクティブ結晶は有望ではあるが,情報の書き込みに非常に長い時間を要し,読み出し時は書き込みと同じ波長のレーザーを用いると徐々に記録情報を破壊してしまうという問題がある。そこで本研究では非破壊読み出し方法の一つとして,記録時と波長を変えて読み出しを行う方法を提案し基礎実験を行った。また,ホログラムメモリーは単に情報の記録だけでなく,外部から入力された情報と内部の記録情報との間で情報の演算が行える。本研究では,この性質を利用した画像識別への応用も試みた。波長による感度差を利用した非破壊読み出し実験では,チタン酸バリウムおよびニオブ酸リチウムの単結晶を記録媒体とし,記録時は高感度波長にあたるYAGレーザーを,再生時には低感度波長にあたる赤外LDでの読み出しを行った。その結果再生にYAGレーザを使用した場合と比較して,チタン酸バリウムでは約10倍,ニオブ酸リチウムではそれ以上の長時間読み出しが可能であることが明らかになった。また再生時に波長を変えることによりブラッグ角がずれ,記録画像の一部しか再生できないことも明らかになったが,円筒レンズなどにより再生光にも角度をつけることでかなり改善できることを見い出した。一方画像識別への応用実験では,ニオブ酸リチウム単結晶を記録媒体とし,記録された画像と入力された画像との類似度が参照光の回折光量に反映される点を利用し記録画像と入射画像の識別を行った。4枚の異なる二次元画像の識別を試みた結果,個々の入力画像による回折光量を比較することで識別が可能であることが明らかになった。さらに3個の1円玉を対象として用いた三次元物体識別実験では,回折光の発生の有無を調べることで微妙な変化まで明確に識別ができることが明らかとなった。
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