研究概要 |
粒子・短繊維複合材料は変形初期から強化材のはく離損傷,割れ損傷が発生し,強度特性に影響を及ぼすことが知られている.これらの損傷の影響を明らかにするために,損傷を考慮した理論を構築するとともに,損傷過程と強度特性に及ぼす損傷の影響について実験を行った.実験結果を損傷理論に基づいて考察し,複合材料の強度特性評価および高性能特性発現機構の解明を行った.また,機能性材料としての形状記憶合金複合材料に関する基礎研究を行った. (1) 複合材料の強化材の割れ損傷およびはく離損傷を考慮した損傷理論をマイクロメカニクスの手法を用いて構築し,更に,本理論に基づく有限要素法を開発した. (2) 粒子体積率と粒子-マトリックス界面強度を変えたガラス粒子分散ナイロン66複合材料について実験を行い,損傷過程と強度特性に及ぼす損傷の影響を調べた.変形初期から生じる強化材のはく離損傷は,引張強さ,疲労強度を低下させるが,破壊靭性,疲労き裂進展抵抗を向上させる. (3) ガラス粒子分散ナイロン66複合材料の引張り応力-ひずみ関係,き裂先端場の解析を損傷理論に基づいて行い,実験結果と解析結果を比較することにより,複合材料の機械的特性に及ぼす分散粒子の効果,損傷の効果を明らかにした. (4) 熱可塑性樹脂にTiNi形状記憶合金繊維を分散した複合材料の機能性材料としての可能性を調べるために,機械的熱的負荷の下での変形挙動を解析する手法を構築するとともに,形状記憶合金複合材料を小型射出成形機により作成し,変形・変態挙動および強度特性に関して実験を行い,高性能発現材料としての可能性を探った. 以上の成果により,分散形複合材料の高性能特性発現のための多くの指針を得た.
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