研究概要 |
1. Poly(methyl methacrylate)(PMMA)平板中を600m/sec以上の高速で進展しているき裂が2つに分岐する瞬間を,顕微鏡撮影することに成功した.撮影には高速度ホログラフィ顕微鏡法を用いた.撮影コマ数は3コマ,コマ間隔は5μsec,解像力は180本/mm以上である. 2. 高速進展き裂が分岐する瞬間には,2つ以上のき裂先端が,1mm以内の微小な領域中を同時に高速で進行する.またこの時,き裂前縁か微小き裂の3次元的動きが観察された. 3. 高速度ホログラフィ顕微鏡法に干渉法を併用することにより,分岐の瞬間のき裂先端応力場を測定した.その結果,分岐の直前,直後において,応力場は,特異平面応力場からずれていることが判明した.分岐直後のずれは,き裂先端が複数存在していることによる.分岐直前のずれは,き裂先端に発生する微小き裂や,微小分岐き裂によるものと考えられる. 4. 高速進展き裂の分岐の力学的機構の解明には,主き裂先端周辺に現れる微小き裂が主き裂の進展の安定性に及ぼす影響を明らかにすることが重要である. 5. 上記の結果は以下の国内および国際会議で報告された. (1) 日本機械学会第75期通常総会講演会,1998年3月31日-4月3日,東京工業大学大岡山 (2) The 11th International Conference on Experimental Mechanics,1998年8月24日-28日,オックスフォード,イギリス. (3) IUTAM Symposium: Advanced Optical Methods and Applications in Solids Mechanics,1998年8月31日-9月4日,ボワチエ,フランス.
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