研究概要 |
本研究の目的は,金属および金属/樹脂積層板そのものの材料試験結果を用い,弾塑性逆解析により構成各層の材料特性を決定(弾塑性構成式中の材料パラメータを同定)する方法を確立することである.本研究で得られた主な結果は次のとおりである. (1) 2層金属クラッド板については,引張りおよび繰返し曲げ試験のデータを用いた材料パラメータ同定法を提案した.本研究では,ステンレス/アルミニウムクラッド板を対象として,移動硬化則および等方硬化則に含まれる合計16個の材料パラメータの同定に成功した.また,この妥当性を各層ごとの引張り試験により確かめた. (2) 樹脂サンドイッチ金属板のV曲げ試験における上下板のせん断ずれ量の分布から逆解析により樹脂の構成式中の材料パラメータを同走する方法について提案した.2枚のアルミニウム板を樹脂接着した試験片を用いて実験を行い,そのデータを用いて樹脂の構成式に含まれる2個の材料パラメータの同定を行った.重ね合わせ継手の引張りせん断試験から得られた樹脂の応力-ひずみ関係(材料パラメータ)と同定した値がほぼ一致したことにより,本方法の妥当性が確かめられた. (3) 本方法の特長のひとつは,材料パラメータを試行錯誤的に探索するのではなく,非線形最適化手法を用いてこれを精度良く行うことにある.さらに,本方法によれば,金属および金属/樹脂積層板について,ある層を機械工などで除去したリせず,積層板そのものの材料試験結果から構成各層の材料特性を決定(弾塑性構成式中の材料パラメータを同定)できるので,この実用的価値は大きい.
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