研究概要 |
マイクロマシンの実用化,高度化,信頼性向上には,微小材料・機構の機械的特性の把握が重要である.微小材料では一般的なバルク材料と著しく異なる特性が予想され、また,微小機構では1サイクルの運動量が小さいため,通常の機械部品と比べ非常に大きな繰返し数・速度負荷が要求される.本研究では高速・高サイクル負荷における微小材料・構造の疲労現象の解明に寄与することを目指し,寸法効果を始め,応力集中部,あるいは薄膜層の残留応力の影響を考慮した試験を行えることを目的としている. 本研究では、第一にマイクロマシン用材料を対象として四点曲げ負荷ができる微小材料疲労試験機の開発を行い,その性能確認を行った.次に本試験機を用いて繰返し負荷試験を行うため,V溝付単結晶Si試験片,Al薄膜付単結晶Si試験片の製作を行った.本研究で得られた成果を箇条書きで示す. 1. 微小材労疲労試験機では数十〜数百Hzの繰返し速度における試験を実施するため,ピエゾアクチュエータを採用した.試験片の変形計測には,微小な対象物を非接触で測定の行えるフィゾー干渉計を用い,CCDカメラを同期させたコンピュータ画像処理によりリアルタイムで行うシステムを構築した. 2. 開発した試験機の動作確認を行い,微小材料の疲労試験が可能であることを確認した. 3. 単結晶Siに異方性エッチングを利用してV溝切欠きの導入を行った.SEM観察により,(111)結晶面が露出すること,切欠きが十分な鋭さを持っていることが確認できた. 4. 単結晶SiにAl薄膜をスパッタ製膜した薄膜付平滑試験片を製作した.膜質を制御する成膜条件を調査し,併せて寸法形状の制御方法を確立した.
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