研究概要 |
セラミックスを精度の高い機械部品として使用する場合にはダイヤモンドホイールによる研削加工が不可欠であるが,研削加工の高能率化による研削欠陥の発生がセラミックスの強度を低下させ,製品としての信頼性向上のネックになっている.本研究では,研削加工によって強度低下したセラミックスを短時間の加熱によって強度回復させることを試み,加熱条件によっては数十秒の加熱で著しい強度回復を達成できることを見出した. アルミナセラミックスについては,電気炉およびアセチレンバーナーを用いて加熱し,窒化珪素セラミックスについては大気中および窒素雰囲気中における加熱実験を行った.その後に曲げ強度試験を行い加熱前後の曲げ強度を測定することによって強度回復の効果を調べた.また強度回復のメカニズムについて検討した. その結果,1)結晶粒径が2μm以下のアルミナセラミックスで回復効果が大きく,加熱条件は1000℃で1〜5分間が効果的であること,2)アセチレンバーナーを用いた加熱でも電気炉による加熱と同様な効果が得られ,数十秒で回復効果が現れること,3)窒化珪素セラミックスでは大気中の加熱による参加の影響はないこと,4)過度の加熱は逆に強度を低下させること等がわかった. 以上の成果は,機械部品等に使われる構造用セラミックスの強度信頼性の向上に大きく貢献するものである.
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