研究概要 |
音響・振動計測による研磨加工の監視法を提案し,測定技術の確立,発生音響・振動の周波数分布の解釈,および監視周波数の特定などについて以下に示す結果が得られ,監視技術を確立することができた. 1. 測定技術の確立 微弱かつ高周波域までの音響を精度よく測定するため,研磨用重錘としてホーン状と円柱状のジグを設計した.前者は音響増幅,後者は共振を避けることを主に考えている.それらに圧電セラミックセンサあるいは加速度センサを取り付け,周波数100kHzまでの振動を調査可能とした. 2. 音響・振動の周波数分布の解釈 模擬ラップと加工物の間にラップ剤をいれ,ラップを回転させずに上下振動を与えると,加工物は砥粒接触部を等価ばねとして固有振動数が1.5〜2kHzの典型的な2次系の振動を起こした.砥粒径分布を実測し,接触に関与すると思われる砥粒の個数を推定し,ヘルツ応力理論に基づいて接触部を等価ばね定数と考え,加工物を1つの質量と見なし,平均砥粒径,ラップ圧力などが固有振動周波数におよぼす影響を定式化することができた.次に,ラップをわずかに回転させると音響・振動の様相は急に変わり,0.5〜4kHzに分布するようになることが分かった.砥粒が移動し接触状態が時々刻々と変化するためと考える. 3. 監視周波数の特定 加工条件として,砥粒径,ラップ圧力,ラップ速度を変えて周波数分布を調べたところ,加工状況に関連して発生する音響のピーク周波数は0.5〜2kHzにあること,そのピークのデシベル値は加工面の表面粗さと一次の関係にあることが分かった.
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