研究概要 |
軸受すきま内の空気の温度に関する支配方程式はエネルギ方程式,主軸とハウジングのそれは熱伝導方程式であり,それぞれ3次元問題として解く必要がある. 平成9年度は,空気膜の圧力分布を有限要素法を用いて圧縮性レイノルズ方程式から求めるプログラムの開発を行った.これからエネルギ方程式を解くために必要な流速などを求めることができる.温度分布の解析は空気膜とハウジングに対して有限要素法を用いた.この場合,両者を別々にモデル化すると,両者の界面における境界条件の合理的な与え方がない.そこで,両者を一体としてモデル化することとし,全体の要素数が非常に多くなり計算が困難になるという問題を克服するために,空気膜部分のみを細かく分割して求めた圧力,圧力勾配,流速,流速勾配などの節点値を,一体としたモデルの空気膜部分に間引いて引き渡す方法を考案した. 平成10年度は,試作したエアースピンドルユニットの空気膜,ブッシュ,ハウジング部分の温度,圧力,主軸およびハウジングの変位を測定した.主軸端とハウジング端を断熱しない場合とした場合でハウジングの軸方向温度分布が異なることが確認された.本研究では主軸の温度分布を測定していないが,ハウジングが上記のようであれば,主軸も同様であろうことが想像できる.すなわち,温度解析に当たっては,従来のように主軸を等温すなわち断熱とはみなせずに,主軸への熱の流れも考慮しなければならない. 以上のことを考慮した圧縮性レイノルズ方程式,エネルギ方程式,熱伝導方程式の有限要素法解析により,圧縮性ゆえに空気膜の温度は条件によっては低下する可能性があること,熱の配分割合が決定できれば二次元問題として概略の温度分布を求めることができることなどを明らかにした.
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