研究概要 |
近年,CIMの研究開発が進められ,様々な効果をあげている.しかし,今まで成されてきたCIMの研究は,そのほとんどが通常の正常運転の自動化が対象とされ,トラブル発生に対する監視システム,およびその後の処理システムは考慮されてこなかった. そこで,本研究では,CIMなど生産工程全体の自動化にともない必要不可欠となる自動工程監視システムおよび自動トラブル処理システムの構築に必要な基本機能の開発を目的とし,主として,加工工程における監視システムの開発と,ジョブショップに対応でき得る知的な搬送システムの構築に取り組んだ.研究成果は以下の3つにまとめられる. 第1に,加工工程において加工機械が稼働時に発する機械音や加工時に発生する切削音を入力として,現在の稼動状態が正常かどうか,あるいは摩耗・欠損など切削工具の状態をオンラインで認識する自動監視システムの開発を行った.本研究では,各状態に応じて特徴的に現れる音スペクトルの頻度をニューラルネットワークによる認識システムに入力することにより,従来よりも誤認識率の低いシステムを開発することができた. 第2に,生物がDNAから蛋白質を合成する方法を参考にし,移動ロボットの行動創発システムを提案した.本システムは,数個の基本的行動プログラムを用意するだけで,ランダムウォーク,障害物回避など,従来,操作者が事前に与えていた行動プログラムをロボット自身が作成し,新たな行動を創発することが可能になった. そして,第3に,複数台の移動(搬送)ロボットが存在する現場において,効率よく複数のロボットを用いて全体の搬送工程を処理し得るスケジューリングシステムの開発を行った.本システムを用いることにより,ロボット同士がすれ違えない環境下においてもほぼ最適に全体の搬送を行え得ることを,シミュレーションのみならず,小型の移動ロボットを実際に用いることにより確認した.
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