研究概要 |
本研究は歩行面・その他からの外乱に迅速に対応可能な2足歩行機械システムの実現を目的としており,外乱に対する姿勢制御を反射運動により行うために,2足歩行機械の制御系を構成し,外乱作用の検出法を明らかにするとともに外乱に対する反射運動の決定を行い,歩行実験による検討を加えた.まず,外乱検出系と反射運動起動系についてその構成および歩行機械全体の制御系における配置を明らかにし,2足歩行機械の制御系の構成を具体的に提案した.つぎに,外乱に対する姿勢制御を外乱作用の検出,外乱補償運動の実行,外乱不作用の検出および定常歩行への復帰の四つの動作により構成した.歩行機械に作用する外乱として,歩行機械本体に進行方向に作用する性質の異なる2種類の外力,すなわち作用時間が短いが大きさが大きいインパルス的外乱と作用時間が長いが大きさが小さい継続的外乱,を取り上げ,それぞれの外乱について通常のセンサにより検出可能な歩行機械の状態量を定めるとともにその検出方法を具体的に明らかにした.そして,インパルス的外乱に対しては安定な歩行停止を,継続的外乱に対しては安定歩行の継続および定常歩行への復帰を目的として,脚の反射運動を決定した.以上の結果をもとにして,質量18kg,全高0.66mの2足歩行機械について外乱に対する姿勢制御系を構成し,歩幅0.25m,歩行速度133歩毎分の定常歩行時に外乱を作用させる実験を行ったところ,250Nの大きさのインパルス的外乱に対して安定な歩行停止が実現され,25Nの大きさの継続的外乱に対しては反射運動の適切な切り替えによる歩行の継続および定常歩行への復帰が実現された.さらに,歩行機械の外乱補償系の信頼性向上のために,外乱作用後の歩行機械の状態変化を定性的および定量的に検討して外乱検出則に改良を加えたところ,外乱検出の成功確率の向上を図ることができた.
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