研究概要 |
まず接合技術実現するために必要となる、諸条件を決定する理論的考察をおこなった.幾何学的形状の差、すなわち表面凹凸の違いは、接合に対して重要な役割を果たすことが知られている.まず機械加工面に幾何学的形状として記憶された情報を、機械加工面の特徴を生かす形で抽出できる方法を、ウェーブレットを用いて開発した.この結果,表面形状の差が検出できる限界についての定量的評価を可能とした. この問題に関連してウェーブレット解析法自体に関しても完了を加えた.すなわち,従来ウェーブレット法では困難であった、位相情報を抽出出来るような,多進ウェーブレット解析法を考案した. 次に超潤滑法を、極小エントロピー法に応用するための改良についての考察を行った.超潤滑法を用いて固体表面の特定部分を選択的に化学,物理的修飾を行い、摩擦面にミクロな摩擦係数の差を持つ領域を生成する方法について検討した.超潤滑法を利用した表面状態の修飾法はレーザーや電子ビームを利用する方法に比べて非常に低いエネルギーの注入で表面状態を変化させることが出来ることが明らかになった.超潤滑法を用いると、従来の加熱による接合と比べてエントロピーの増加を少なく、元の状態を破壊することなしに、接合に適した状態を実現できる可能性が存在することを明らかにした.超潤滑を利用することにより摩擦面のおける情報を高速にしかも安定に変化させる方法についても理論的に検討した. 最後にこれらの研究結果をバクテリアべん毛モーターの作動機構の解析に応用した.バクテリアべん毛モーターの軸受け部は、通常のトライボロジーの常識で考えると焼付いてしまう,環境にあるにも拘わらず,良好な潤滑特性を有している.これは超潤滑利用と極小エントロピー生成パスを利用して,通常ならば接合してしまう条件したにおいて,接合を免れている可能性を指摘した.
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