研究概要 |
タービン,コンプレッサ,工作機械をはじめとして回転機械は産業界で広く用いられているが,いずれの機械も効率向上,性能向上,コンパクト化などを目的としてより高速化へと進んでいる.このため滑りの相対速度が大きくなって運転条件の過酷さが増す流体軸受要素のトライボ設計と高速域での減衰低下にともなう回転軸系の防振設計に極めて高度な技術が要求されるようになってきている. 従来,流体軸受の設計手法と回転軸系の振動問題はそれぞれトライボロジーと機械力学の面から別個に研究が進められてきており,設計問題をこれらの共生問題として捕らえ,かつ最適設計の観点から効率の良い設計手法を確立しようと試みた研究は皆無に近い.本研究では,このような問題に積極的に取り組んだ点に特色を有する.一方,本研究では,(i)流体軸受のトライボ最適設計手法を確立する上で,軸受設計理論として乱流効果,油膜の温度効果,非ニュートン性,表面粗さの影響などを考慮した潤滑方程式を研究代表者の20年にわたる研究成果を基に定式化し,最適設計に取り込んだ点,(ii)GA法及び格子点探索法と逐次2次計画法を組み合わせたハイブリッド最適化手法を新たに提案して,多峰性のある非線形目的関数の最適解を多くの制約条件下でも精度良く,しかも効率的に求め得る方法を確立した点,(iii)だ円軸受などの非真円ジャーナル軸受を最適設計結果に基づいて製作し,最適設計手法の適用性を実験的に検証した点などに独創性を有している.以上の成果は以下に示す論文等で公表されている.また,実験的研究の成果については今後も論文発表の予定である.
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