研究概要 |
本研究は,ベルト伝動・搬送システムの動力伝達効率に関する基礎研究として,ベルト伝動・搬送システムに使用される平ベルトと歯付ベルトの伝動特性と摩擦損失について検討した。 まず,有限要素法により,ゴム平ベルト,フィルムベルト伝動装置の張力分布の解析を行ない,平ベルトの張力分布に及ぼすプーリクラウニングの影響について実験を行った。以下の結論を得た。 (1)フィルム平ベルトの張力分布は,Eulerの理論とよく一致する。 (2)ゴム平ベルトの有効巻付き角度は,Eulerの理論計算値より大きく現れる。 (3)ゴム平ベルトは,ベルトにかかる張力の大部分が芯体によって伝達される。 (4)平ベルトは,幅方向の張力がクラウニングの影響を大きく受ける。 次に,歯付ベルト伝動装置の動力伝達効率に関する実験的研究を行うとともに,ベルト歯とプーリ歯のかみ合い干渉に基づく摩擦仕事の解析を行った。以下の結論を得た。 (1)歯付ベルトの駆動トルクは,ベルト曲げ剛性と歯の摩擦の影響で,周期的にて変動する。 (2)歯付ベルトの駆動トルクは平ベルトのそれより大きい。つまり,歯付ベルトのほうは,より大きな摩擦損失が生じている。 (3)歯付ベルトは歯の干渉によってプーリの多角作用が軽減される。 (4)FEM解析の結果より,歯付ベルトのかみ合いに基づく摩擦仕事はベルトピッチを周期として変動する。歯付ベルトの歯の摩擦損失は駆動トルクの変動と一致する傾向にある。
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