研究概要 |
高速一体回転する回転2重容器(ハウジングとコア)間のすきまに微量の貫流(水)を加えて生成させた,流体乱れのまったくない準剛体回転流中で,希薄濃度で分散された粉体粒子を高精度で分級する新方式について,流れ解析および粒子運動解析を行って得た粒子軌道の理論解(近似解)から部分分級効率を導出し,また真比重2.64,粒径約0.2〜4μmのシリカ粒子の分級実験を行って得た部分分級効率から,分級性能を表す指標である分級径,分級の鋭さ,ニュートン効率に及ぼすエクマン数およびロスビー数の影響について考察し,以下の主な知見を得た. (1) 分級径は,ロスビー数が一定(貫流量/[回転数]^<0.6>が一定)であればエクマン数がより小さい(回転数が大きい)方が,またエクマン数が一定(回転数が一定)であればロスビー数がより小さい(貫流量が小さい)方が,微小径となり微粉分級が行える.分級径のエクマン数,ロスビー数依存性についての実験結果は,理論解と大体一致する. (2) 分級の鋭さは,ロスビー数が一定であればよりエクマン数が小さい方が,またエクマン数が一定であればよりロスビー数が小さい方が,完全分級の鋭さに近づき精密分級が行える.分級の鋭さのエクマン数,ロスビー数依存性の実験結果は理論解と定性的に一致するが,分級の鋭さの実験値は理論解よりもかなり完全分級から離れる. (3) 分級実験で得られた性能について従来の最新鋭の遠心分級方式と比較すると,本研究で得られた分級の鋭さは,従来の遠心分級方式の中でトップレベルにある.ただし分級径については,まだ回転数が低いため(約1400rpm以下),十分なサブミクロン分級といえる範囲に至っていない.今後,高速回転させて分級実験を行う予定である. (4)ニュートン効率は,ロスビー数が一定であればエクマン数の減少とともに,またエクマン数が一定であればロスビー数の減少とともに,完全分級の値に近づく.この完全分級化は粗粉残留率の減少によってもたらされる.
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