研究概要 |
粉体の容器から容器への自由落下による充てん操作で発生する周囲空気の巻き込み現象は種々のトラブルの原因となっている.このため空気の巻き込みのメカニズムを明らかにすることは重要である.そこで本研究ではこの現象の主因子である粒子群の自由落下現象を解明するため,静止空気中を自由落下する約454μmのガラスビーズの粉体ジェットの流動特性の実験を行った.次にこの結果に基づいて粒子と空気の相対速度について仮定を行い,粉体ジェットの軸方向速度分布とジェット内部を流下する空気速度を推定し,巻き込み空気量の予測を行った.さらに粉体ジェットの全粒子運動を粒子に作用する力を流体抗力,粒子回転揚力,気流勾配による揚力および重力でモデル化し粒子間衝突を考慮してラグランジュ法で追跡した.気流は層流とし,粒子による影響をソース項として扱い粉体ジェットとジェット内部の空気の流動状態の数値計算を行った.この結果,粉体ジェットの広がりは単相ジェットと比較して非常に小さく,オリフィスから離れたところで,オリフイスからの距離の平方根に比例する.粉体ジェットの自由落下速度は単一球粒子の自由落下速度と比較して大きく,質量流量が増加するに従って増加する.軸方向速度はジェット外端に向かって急速に減少し,この速度は単一粒子の自由落下速度に近づく.この分布形はオリフィス近傍でポテンシャル的分布を示し,オリフィスから離れた場所では,単相ジェットと同様な相似性を示した.この速度分布形は粒子と空気の相対速度が単一球粒子の自由落下速度に等しいとして,単相ジェットの分布式によって導かれた.また,この式からジェット内部の無次元空気速度分布は質量流量や落下高さによらずほぼ相似形であることが推測された.また,粉体ジェットと周囲空気の通勤の数値計算はジェットの分散状態や粒子速度,空気速度に関して実験で得られた結果とほぼ同じ傾向を示した.
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