研究概要 |
[実験方法の概要] 芝生用降灰除去機の実験装置は,可変速のベルトコンベアと集塵機,ルーツブロアから成る。コンベアベルトには人工芝を張り付けたものを用いた。実験は,吹付け気流による粒子の飛散挙動と試作回収装置内の粒=挙動について可視化による解析を行った。平成9年度の成果を下記の1〜3,10年度の成果を4に要約する。 [研究成果の概要] 1. 平板上の降灰粒子に1本の吹付け管で噴流を吹き付けた場合,吹付け管前方断面では吹付け流速を50〜90m/sの範囲で増加させると粒子の飛散開始位置は遠ざかり,飛散速度が増加し飛散角度は80°から70°へ減少する。また,清掃速度が増加すると吹付け管の方に巻き込むように飛散する粒子が増す。 2. 人工芝の降灰粒子に1本の吹付け管で噴流を吹き付けた場合,1.で見られた吹付け管の方に巻き込むように飛散する粒子はほとんどない。吹付け管前方断面では吹付け流速を50〜90m/sの範囲で増加させると粒子の飛散開始位置は1.の場合より遠方となり,飛散速度が増加し飛散角度は55°から30°へ減少する。 3. 人工芝の降灰粒子に3本の吹付け管で噴流を吹き付けた場合,吹付け管前方断面の粒子挙動は2.の場合とよく似ているが,吹付け管の中間前方断面では,吹付け流速の変化に係わらず粒子の飛散開始位置は吹付け管の極く近傍となり,飛散速度が低く飛散角度は80°程度と高い。清掃速度が増加すると,1.,2.の場合とは逆に飛散位置が遠ざかり,飛散速度がかなり増加し飛散角度は低下する。 4. 上記の結果に基づいて,取付け角度30°,45°,60°の吸込み管路をもつ清掃装置を製作した。そして,装置内の微粒子の挙動を調べた結果,次のようなことが明らかとなった。 (1) 吸込み管路の取付け角度が30°の場合,吹き上げられた粒子の一部は吸込み管路入口手前の上壁面に衝突し,その後吸込み管路内を少し蛇行しながら上昇する。 (2) 吸込み管路の取付け角度が60°の場合,吹き上げられた粒子の一部は吸込み管路へ流入後,下壁面に衝突し,その後吸込み管路内を蛇行しながら上昇する。 (3) 吸込み管路の取付け角度が45°の場合,吹き上げられた粒子は吸込み管路へスムーズに流入し,管路内をほぼ平行に上昇する。 (4) 粒子飛散挙動の結果は,吸込み気流のある回収装置内の吹上げ挙動をも十分説明できる。
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