研究概要 |
サブクール沸騰のDNB後に微細気泡を噴出しながら熱流束がCHFを超えて急上昇する気泡微細化沸騰を、気泡崩壊時に発生するマイクロジェットによる液体の伝熱面への強力な供給により、固体接触がCHF以上の高温、高熱流束まで維持されて生じるものと考え、気泡の成長・崩壊挙動を詳細に観察するとともに、その時の圧力変動および伝熱面直上での局所温度変動を同時に測定することにより、マイクロジェットの存在を確認するとともに、熱伝達の機構について考察することを目的とした研究を行ってきた。 強サブクールの本沸騰系ではCHF後の現象として、SMEB-I, SMEB-II, CMEB, 膜沸騰が現れるが、このうちSMEB-I, IIが他の二つおよび核沸騰と比べて高い圧力を周期的に発生する。SMEB-I, IIではピーク圧力の平均値は熱流束と強い相関を示す。このとき同一熱流束での平均ピーク圧力は、サブクール度が大きいほど小さい。 SMEB-Iでの気泡の挙動を高速ビデオに撮り、これと同期させて伝熱面近傍の圧力変動を測定した。その結果、SMEB-Iでは圧力変動の波形は先頭の比較的大きなピークと、それに続くやや小さい複数のピーク一連からなるピーク群の繰り返しで、気泡の崩壊直後に圧力が鋭く上昇する。この特徴は、蒸気爆発で観測されるものと良く似ている。 温度変動の測定で、気泡の崩壊と同時に伝熱面直上の液温が低下し始めることから、気泡崩壊に伴い伝熱面へのサブクール水の突入が確認された。SMEB-Iでは温度変動のパワースペクトルの700Hzあたりにピークが現れ、熱流束とともに高周波に移行する。温度及び圧力変動のパワースペクトルのピーク周波数と高速ビデオから求めた気泡の崩壊頻度を熱流束に対して整理すると、それらはすべて一つの曲線にまとまり、熱伝達機構がそれらと直接結びついていることが明らかになった。
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