研究概要 |
本研究は液・液直接接触時において,いかにしたら蒸気の生成が活発化され,沸騰特性が良好となるか,またその時の蒸気の生成はいかなる機構に基づいて発生されるのかを接触界面の挙動を可視化することによって明らかにしたものである.その目的のために,大きく4つの異なる実験系で可視化された. まず一つは,十分豊富な水のプール容器の底で溶融金属が射出する場合について定常状態下で沸騰特性曲線と現象の可視化がなされた.その結果,溶融金属は粗粒となって射出するものの,それを包含する大きな蒸気泡が生成され,その蒸気泡の生成から消滅までの周期が長いため,伝熱特性が悪化することが判明した. そこで,次に,蒸気泡の成長を抑止する狙いから,豊富な水の液面ではなく,単に水で濡れた面に溶融鉛を衝突させた実験を行い,乾燥面でのそれと比較した結果,濡れ面への衝突の場合は,界面での薄い蒸気膜の存在が裏付けられ,濡れ面への衝突は水滴の無い乾燥面へのそれよりも飛散現象が激しいことが判明した. 次に,1mmの水膜が形成された石英レンズ面上に溶融スズを落下させ,そこでの爆発的溶融スズの飛散挙動を石英レンズの裏面から,レーザホログラフィによる等温度干渉縞模様として高速度ビデオにてとらえた.その結果,接触界面において瞬時に微小蒸気泡(マイクロバブル)が発生し,それが界面から離脱していることが判明した. 最後に,接触界面で発生する微小蒸気泡の発生をより活発にさせる方法として,液・液接触時(非水溶性液面への水滴衝突時)にその2液の界面張力差によって発生すると考えられるマランゴニ対流を積極的に起こさせる手法を講じ,非加熱実験ではあるが,その発生挙動をとらえた.その結果,接触時での蒸気発生はマランゴニ対流の発生によって,より活発化することが推測できた.
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