| 研究概要 |
本研究は高時空間分解能の光学的計測を応用して,乱流燃焼火炎の微細構造を解明することを目的とした.平成9年度では,最適設計したカセグレン光学系による局所自発光計測手法の提案及び計測システムの開発を行い,乱流中で時空間変動する数百μmの火炎面内のOH^*,CH^*,C2^*ラジカル発光を時系列で捉えられることに成功した.
平成10年度上期では,火炎帯の詳細な構造を把握するために,層流火炎の局所自発光スペクトルの計測を行い,当量比依存性と火炎帯厚さに関する考察を行った.下期では,本計測システムを乱流火炎に適用し,乱流中の局所火炎帯厚さを求めた.さらに,空間的な多点のOH^*自発光同時計測光学系を開発し,局所領域における火炎面の空間変動量と移動速度に関する解析を試みた.
以下に本研究により得られた主な知見を示す.
・ 火炎面の密度変化によるゆらぎがカセグレン光学系の測定体積に及ぼす影響を検討した結果,測定体積の大きさに対して約2%の範囲で重心点が移動することがわかったが,火炎面構造の議論上ほとんど問題がない.
・ 乱流火炎の多点計測結果を時系列解析することによって,局所的なOH^*発光帯の変動量について把握することが可能であることを示した.今後,OH^*,CH^*,C2^*自発光の同時多点計測を行い,各反応面の空間挙動と移動速度について検討していく.
・ 層流予混合火炎において局所自発光計測を行い,局所的な火炎面の発光スペクトル構造を初めて観測し,OH^*及びCH^*,C2^*自発光強度に明確な当量比依在性があることを明らかにした.
・ 層流火炎における反応帯の厚さを算出することを試み,OH^*,自発光帯がCH^*自発光帯と同程度の厚さになることを示唆した.
・ 点計測用のカセグレン光学系を用いて乱流予混合火炎における局所的なOH^*,CH^*,C2^*自発光及び流速の同時時系列計測を行うことで、火炎微細構造の解析が可能になることを示した。
・ 乱れの弱いしわ状層流火炎ではOH^*自発光帯の厚さがCH^*,C2^*自発光帯の厚さの数倍程度厚くなった。
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