研究概要 |
ER流体は、外部からの電場印加によって粘性を数ミリ秒のオーダーで可逆的に変化できる機能性流体であり,その特徴によりER流体を作動流体とする流体回路では,全く可動部を持たない電極部だけからなるERバルブを用いて流量や圧力を制御することが可能となる.本研究では,このERバルブの小型化の特徴を活かすとともに,ERバルブをON-OFFバルブとして捉えPWM波で制御することを提案して,PWM制御されたマイクロERバルブによって駆動されるマイクロアクチュエータ制御システムの構築を目的に,以下の研究を実施した. (1)0.8から0.1mmまでの電極間隔をもつ二枚のガラス電極からなる基本的なマイクロERバルブを対象に,そのDC電圧制御やPWM制御時の流量制御特性を実験的に調べ,電極間隙,DC電場強度,PWM波のキャリア周波数及び差圧などが流量制御特性及びマイクロ流動特性に及ぼす影響を明らかにし,マイクロERバルブの最適な構成法や制御法などの指針を提示した. (2)二枚のガラス電極と光学ガラスとから構成された矩形断面を有する二次元流路内の分散系ER流体の往復振動流を対象に,その流体歪みと圧力差の関係から動的粘弾性の特性について検討するとともに,マイクロスコープを用いた流れ場の観察によりそのマイクロ流動特性を明らかにして,それらの特性に及ぼす往復振動流の振幅,周波数及び印加重電強度等の影響を明確にした. (3)2つのマイクロERバルブから成る3ポートのERバルブで駆動される単一ベローズ型マイクロアクチュエータを設計,試作し,2つのERバルブをPWM制御するときのその制御方法と制御特性について実験的に検討することにより,2つのERバルブの最適な制御法を提示している.さらに,本マイクロアクチュエータの位置フィードバック制御系を構成し,補償要素としてPID制御則を適用し2つのERバルブへのPWM波のDuty比を偏差に比例して可変する制御方法を提案し,その制御性能を明らかにするとともに,このような系の高精度制御に最適なサーボ系の構成法と制御法について検討した.
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