研究概要 |
TLM逆伝搬解析プログラムの開発およびそれによる2,3の数値実験と超音波CTシステムの検証実験を行った。CTでは多くの場合断層像が得られれば十分であるため2次元問題として取り扱った。2次元音響空間をTLMモデルにより計算機上に構築して,その内部に対象とする物体を想定し,2,3の数値実験を行った結果 1.密度だけが周囲媒質と異なる対象体について逆伝搬による再構成を行ったところ、対象体の境界面が画像として得られ,本手法が画像再構成法として有効であることがわかった。また,音速の異なる対象体については画像に乱れが生じることがわかった。 2.受波の観測位置や観測点数などが再構成画像に与える影響を調べたところ,観測間隔が波長を越えると再構成できなくなることがわかった。 つぎに数値実験の結果を検証するために試作された超音波CTシステムを用いて検証実験を行った。その結果 1.中心周波数180kHzの超音波振動子の前面数カ所でパルス波形を観測し,TLM逆伝搬解析プログラムの順伝搬モードによる結果と比較したところ定性的に一致した。 2.開発されたTLM逆伝搬解析プログラムに対象体がない場合の観測データを入力し,逆伝搬解析を行ったところ,音波が受波器に戻っていく様子が計算機上で確認された。 より鮮明なデータを得るためには,受波システムのS/Nの改善および計測システムの機械精度等の調整を行う必要があろう。
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