研究概要 |
本研究では,静粛環境の創生に不可欠な実用的で信頼性の高いハイブリッド固体音騒音制御法の確立を目的として,アクティブ方式とパッシブ方式の得意分野を組み合わせたハイブリッド遮音壁の制御法の基礎研究を進めてきた。前年度は遮音壁を想定した平板構造物の多モード振動制御法について研究を行い,Journal of Sound and Vibrationや日本機械学会講演会などでその成果を発表してきた.今年度は平板構造物を通して放射される騒音の制御法について研究を行い,Journal of the Acoustical Society of America,第二回世界構造制御会議,精密工学会誌,International Journal of the Japan Society for Precision Engineeringなどにその研究成果を発表した.この一連の研究成果の概要は,アクティブ方式をパッシブでは困難な低周波振動・騒音の制御に当て,パッシブ方式をアクティブでは難しい高周波振動・騒音の抑制に当てて,広い周波数帯域に渡って良好な遮音性能を持つ遮音平板を実現したものである.本研究では,1次モードから9次モードまでの多数の振動モードがアクティブ方式で制御され,それ以上のモードは動吸振器で抑制されている.今までに,このような多数の共振周波数を制御した事例は皆無であったが,本研究では,スピルオーバと呼ばれる不安定振動を起こすことなく,しかも簡素な制御システムを用いて所用の広い周波数帯域を振動・騒音制御の目的を達せすることができた. なお,これに引き続き180cm^*90cmの実物大の大型遮音壁を製作しこれを振動制御すると共に,2つの反響室の遮音壁として用いて一方の部屋で騒音を発生させ,他方の部屋で放射音を測定することによって,遮音特性を定量的に評価する研究を行った.その成果については1999年7月にデンマークで開催される第6回世界騒音振動会議で発表の予定である.
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