研究概要 |
本研究では,地震や風により生じる機器,配管系,搭状構造物などの複雑な振動を抑制できるような多自由度制振装置を得ることを目的として,摩擦力可変型のアーム型セミアクティブ制振装置を開発した.本制振装置は4関節と3リンクから成る人間の腕のような形をした制振装置であり,関節部は超磁歪アクチュエータ,拡大機構,鋼球受け及び鋼球によって構成されている.本制振装置は四つの関節を3本のリンクでつないだ構造であるので,物体の6自由度の振動を抑制することが可能である. 本制振装置を試作して,並進3方向の抵抗力特性を調べ,1質点3自由度系に対する制振効果を地震応答実験と解析により確かめた【Journal of ALLOYS AND COMPOUNDS,Vol.258(1997-8)】. 本制振装置の制振性能は,超磁歪アクチュエータと拡大機構から成るアクチュエータシステムの変位・力拡大能力に依存する.そこで,流体式拡大機構付き及びテコ式拡大機構付き超磁歪アクチュエータシステムを試作し,その拡大性能を実験と理論解析によって検討した【日本機械学会九州支部創立50周年記念講演会講演論文集(1997-10),1998年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集(1998-3),第10回「電磁力関連のダイナミックス」シンポジウム講演論文集(1998-6)】.その結果,本制振装置にはテコ式拡大機構が適しており,押付け力を最大にする拡大機構の最適設計条件が存在することを確かめた.現在,この最適条件に基づいて新しいアーム型セミアクティブ制振装置を設計・製作し,その制振性能を実験・解析中であり,その結果を第11回「電磁力関連のダイナミックス」シンポジウム(平成11年10月13日〜15日開催)で発表する予定である. また,超磁歪アクチュエータの代わりにコイルばねを用いたパッシブ型のアーム型制振装置を試作し,その振振性能を実験と計算によって調べた【日本機械学会東北支部第33期講演会講演論文集(1998-3)】.
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