研究概要 |
ホームロボットなど,将来,人間の生活環境で稼動する超多自由度ロボットの一例として,多数のアクチュエータと多対偶素節を連結して網構造を構成し,その構造を変化させてロボット全体の形状を環境に対して適応的に変化できる「網構造ロボット」を提案し,その総合法と運動制御法を考案して,ロボットの性能を評価することを目的として研究を行った.本研究で得られた主な成果は以下のとおりである. 1. 直動アクチュエータと多対偶素節を回転対偶を介して相互に接続して得られる平面網構造ロボットをモジュール構造とすることを提案し,モジュールの満足すべき機構学的条件を明らかにして数の総合を行った.得られた平面網構造モジュールを相互に接続し,12自由度13アクチュエータの,アクチュエータの運動に干渉を生じる平面網構造ロボットを総合した. 2. 総合した平面網構造ロボットを試作してその駆動制御系を構築し,ロボットの輪郭形状を3本の直線で近似して,それらの直線を運動させる輪郭形状制御を試みた結果,ロボットはアクチュエータの運動の干渉を回避しつつ,所望の運動を行うことを検証し,提案した平面網構造ロボットの有用性が確認できた. 3. 空間網構造を有するロボットとして,高剛性でかつ柔軟な運動が可能な,冗長複ループマニピュレータを提案した.その機構を等価対偶と多対偶素節の接続に置き換えて単純化し,さらに所望の自由度を有しつつすべてのアクチュエータを静止節に配置し,しかも対称な構造を有する機構を得る数の総合法を明らかにした. 4. 総合例として得られた8自由度複ループ空間マニピュレータの変位解析を行うための24元連立非線形方程式を導いた.ニュートン・ラプソン法による解析では収束解を得るには至らなかったが,試作機構模型による実験により,所望の冗長自由度を有することが確認され,この機構が柔軟な運動を行いうることがわかった.
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