研究概要 |
一般的に,移動ロボットが自己位置を認識する方法としては,コーナキューブ等の外部に設置した標識や画像データから外界を認識して自己位置を計測する方法と,自己の内界センサを用いて基準位置からの変位を計測する方法(デッドレコニング)がある。通常,後者で用いられる内界センサとしては車輪または駆動モータに取り付けられたエンコーダがあるが,地面と車輪の間におこるスリップのため,高精度の計測が困難である。そこで,デッドレコニングの高精度化を目的として,エンコーダに変えて半導体レーザを用いた二次元非接触速度センサを開発した。 これまでに,小型速度センサ(半導体レーザ,回折格子,レンズ及びフォトディテクタにより構成される)の試作を行い,干渉縞の方向に対して斜めの方向にセンサを移動させ,縞の垂直方向の速度成分が検出されることを実験により確認している。 今回は,自律移動ロボットにセンサを搭載し,デッドレコニングによる二次元速度及び二次元変位の計測実験を行った。各センサにおける移動速度は,センサの設置方向と組み合わせてベクトル表現することが可能となるので,各センサにおける移動速度ベクトルを合成して,移動ロボットの二次元速度を計算した。さらに,この二次元速度を積算して二次元変位を計測した。また,信号処理部分の改良により,精度の向上を実現した。 内界センサの精度の向上により,外界からデータを取り入れる必要性が減り,取り入れる時間間隔を広げることができるため,外界の標識を減らすことが可能となる。また,外界センサが使用不可能な領域においても,高精度な自己位置認識を行うことが可能となる。
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