研究課題/領域番号 |
09650367
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
電子・電気材料工学
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
伊藤 彰義 日本大学, 理工学部, 教授 (60059962)
|
研究分担者 |
川越 毅 日本大学, 理工学部, 専任講師 (00195067)
中川 活二 日本大学, 理工学部, 助教授 (20221442)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1997年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
|
キーワード | 分子動力学法 / シミュレーション / 人工格子 / 巨大磁気抵抗効果 / 微細構造 |
研究概要 |
磁性人工格子において巨大磁気抵抗効果(GMR)が見いだされ、超高密度磁気記録に不可欠な高感度磁気ヘッドとして世界において苛烈な研究・開発競争が繰り広げられている。GMR特性は人工格子の異種原子界面の構造に敏感であり、同一の周期構造でも作成条件により特性が異なる。そこで本研究ではナノスケール界面構造の知見を得るため、分子動力学法による薄膜形成過程のシミュレーションによる微細構造及び膜形成過程の作成条件依存性を解明することを目的とした。MDシミュレーションを行い、界面での拡散、界面の凹凸による異種原子混合層のナノスケール構造、人工格子成長様式の作成条件依存性、その原子組成依存性を解明した。 平成10年度は、Co/Cu人工格子膜形成シミュレーションを行い、界面構造の作成条件依存性について検討した。その結果、以下に示す事柄を明らかにした。 1) 蒸着法に相当する成膜条件では、島状成長による凹凸のために磁性層同士が結合するピンホール結合を生じ得る。このピンホール結合により、GMR発現の必要条件である磁性層同士の反強磁性的結合が壊れ、GMR低下の原因になると考えられる。このような微視的な構造の観察は非常に困難であり、本シミュレーション解析により明らかに出来た。 2) イオンビーム・スパッタ法に相当する条件で、界面から上下二原子層に相互拡散を生じる事を明らかにした。 3) 種々の入射角度および入射エネルギーについてCu基板上へCoを一原子入射するシミュレーションを繰り返し行うことにより、入射原子が基板表面原子と置換する頻度は同一の入射エネルギーにおいて入射角度の増加と共に減少する傾向を示し、人工格子膜の積層界面における原子の入れ替わり量は入射エネルギーだけでなく、入射角度にも強く依存していることを明らかにした。 以上の結果は、前年度の研究成果であるスパッタ薄膜の表面ナノ構造とも良い一致を示した。このように、本研究では、分子動力学法を用いた人工格子膜形成過程のシミュレーションを行ない、異種原子界面における原子の相互拡散や凹凸、ひずみの分布など、実験的に得る事が非常に困難なナノスケールの構造の知見を明らかにし、原子レベルでの成膜シミュレーションがナノスケールの微細構造を知るための研究手段として、非常に有効である事を示した。
|