研究概要 |
本研究による成果は,五つに大別できる. 第一は,蓄積MPEGビデオ・音声のメディア同期の研究である.メディアサーバー内に蓄積されたMPEGビデオと音声をALTAIR無線LAN経由でアクセスする場合の実験を行った.各プロトコルタイプの基本性能を測定するとともに,それぞれの有効適用領域を明確にした.更に,MPEGビデオの時間的解像度制御方式を新たに提案し,この方式は高負荷時のメディア同期品質を大幅に改善することを示した. 第二の研究は,ライブMPEGビデオ・音声について,第一の研究と同様の検討を行った. 第三の研究として,ライブメディアと蓄積メディアの同時転送のためのメディア同期方式を新たに提案し,ATM・無線統合LANの環境で,実験によりその有効性を示した.提案方式は,蓄積ビデオの出力前のバッファリング時間を,ライブメディアのそれよりも長くとることによって,それらのメディアの特徴の違いを利用している. 第四の研究は,PHS回線における蓄積メディア同期についてである.PHSをアクセス回線としてN-ISDNに接続されたメディアサーバからH.263蓄積ビデオとG.726蓄積音声とを取り出して再生する実験を行い,筆者等により既提案のスライド制御メディア同期方式の性能を評価した.更に,メディアサーバがインターネットに接続された場合に,インターネットトラヒックがメディア同期品質に及ぼす影響についても検討した. 第五の研究は,PHS回縁においてH.223Annex多重化プロトコルを用いてライブのH.263ビデオとG.723.1音声とをインタリーブ伝送するシステムを対象にした.そして,メディア同期品質と伝送遅延とを制御するQOS制御方式を提案し,その性能をシミュレーションによって評価した.更に,G.728符号化されたライブ音声をPIAFSとUDP/IPによって伝送する実験も行った.
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