研究概要 |
本研究の目的は,地球周回衛星のみならず惑星探査に向けて、波動観測データを効率よく地上に伝送する,高いインテリジェント機能を持つ波動受信機(インテリジェント受信機)を開発することにある。 平成9年度は、データ圧縮法の開発と評価をインテリジェント波動受信機(昨年度試作機:A/D変換,メモリ,CPU,DSP(Digital Signal Processor),フロッピーディスク装置などからなるIBM/PC互換のボードコンピュータ)を用いて行った。波動観測データにふさわしい圧縮法として,ブロック長可変のサブバンド圧縮法を開発し,CPUとDSPによる場合のコードの最適化や速度比較を,GEOTAIL衛星で観測された様々な波形データを用いて評価し,その効果を確認した。 平成10年度は,Digital Down Converter(DDC)を用いた掃引受信機を開発した。DDCはA/D変換されたデータをディジタル処理により低い周波数の信号に変換するものである。まず,このICを用いて局部発振周波数を中心とする±50kHzの複素信号に変換する。この信号に昨年度開発した帯域圧縮を行えば,波形伝送が可能である。さらに,この信号に高速フーリエ変換(FFT)を施し,周波数分析を行った。局部発振周波数を変化させ,2MHzまでの周波数分析を約200Hz分解能で行った実験例では,アナログ方式のGEOTAILの波動観測装置に比して,広範囲,高分解能でかつ数10倍高速な掃引受信機が実現できた。 以上のように,本研究によって高速高分解能の周波数分析やデータ圧縮を行った波形伝送を行うできるようになり,今後の惑星探査などに利用可能なシステム開発を行うことができた。
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