研究概要 |
本研究によって得られた成果を要約して示す.(1)ディジタル画像の補間モデルとして,(a)標本化関数に基づく理想的なモデル,(b)標本化関数と窓関数を併用するモデル,および(c)双一次補間に基づくモデルのそれぞれについて検討を行った.その結果,標本化関数に基づく理想的なモデルに基づいたテンプレートマッチングが,最も高い検出精度を保証できることが明らかとなった.また,双一次補間に基づくテンプレートマッチングにおいては,検出結果にオフセットが生じる(検出誤差の平均値が零とならない)問題があることが示された.(2)上記の(a)〜(c)のモデルによって記述される補間画像に対する連続的なテンプレートマッチングは積分形式で定式化される.この連続的テンプレートマッチングの問題は,標本値のみを用いた離散的なテンプレートマッチングの問題に等価的に変換でき,かつ画素の整数倍ではないような「見かけの平行移動ベクトル」を検出できることを理論的に明らかにした.また,そのための計算アルゴリズムを開発し,シミュレーション実験によって,その有効性を確認した.(3)静止画像を入力画像として,また入力画像に対して微小な位相推移を与えた画像をテンプレートとしてシミュレーション実験を行い,本手法の検出精度を検証した.その結果,画素間隔の1/10〜1/100程度の高い検出精度が実現できることが明かとなった.(4)本手法を実動画像に適用する場合の演算量の増加を考慮して,従来手法による画素精度のテンプレートマッチングの結果に基づいて,±1画素の範囲で提案手法を適用する2段階手法を開発した.(5)本手法の動き検出以外の分野への応用として,データ埋め込みおよび検出手法としての可能性を検討した.
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