研究概要 |
人や通常の機械が入れない環境での作業のためにマイクロマシンやロボットが必要となる。この様な環境を想定し,狭い閉空間における複数移動ロボット間の通信・制御を可能にする無線通信システムの基礎研究を行った。この様な環境ではアンテナ間距離が非常に近い場合の伝送特性および電波の多重波伝搬特性が問題になる。 本研究では,ネットワークアナライザや標準信号発生器により伝搬特性を実験的に検討した。これらに必要な測定環境や測定処理系を整備するとともに,伝搬特性を評価できるソフトウェアの開発も進めた。主な項目は以下のとおりである。 (1)ロボット間通信では,送受信が非常に近接するため,この場合の電波伝搬特性を実験的に検討した。送受信アンテナが波長以下でも距離の2乗に反比例する特性を明らかにした。また,アンテナの交差偏波識別度を考慮すれば,送受信が交差偏波になる場合も,受信レベルは同一偏波と同様な距離特性で評価できることを明らかにした。 (2)障害物が伝搬特性に与える影響を検討した。各種材質に対して透過・回折波の強度を実測した。また,閉空間で問題となる周囲からの反射波による周波数特性を測定し,直接波レベルが低くなると周波数特性が顕著になり,波形歪みによる誤りが増加する可能性がある。 (3)良好な伝搬特性を確保するには多数の無線基地局が必要になるが,無線基地局の小型,経済化のためにはファイバ無線方式が有望である。このような方式でのファイバ区間・無線区間の伝送特性の劣化を検討し,十分適用できることを示した。
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