研究概要 |
1. マルチメディアトラヒックにおける長記憶性の解析とモデル化 動画像ビデオをMPEG2方式で可変ビット率符号化圧縮したフレーム列のトラヒックの特性を,統計的手法であるスペクトル解析により調べて,1/f特性が見られることを確認した.また,M/G/∞待ち行列の系内客数が長記憶過程であることに着目して,Hurstパラメタで与えられた長記憶性をもつ過程を生成する方法を開発し,それに基づくシミュレーションによって生成したデータ時系列を検証した. 2. 移動体通信網における呼損率の評価 携帯電話・PHS等のセルラ移動体通信システムにおいて,新しく発生する呼が(発生時にセルの全チャネルが使用中のために)受け付けられないで呼損になる確率や,通話中のユーザが隣りのセルに移動するときにハンドオフができず強制切断される確率を,Markov過程モデルの数値解とシミュレーションで評価した.それらの確率を,現行の周波数分割多重(FDMA)方式と次世代の符号分割多重(CDMA)方式の場合で比較した. 3. 複合通信ネットワークのモデルに現れる確率モデルの解析 (a) MPEGフレーム列のトラヒックを特別半Matkov過程とし,他の干渉トラヒックをPoisson過程とする混合入力過程をもつ待ち行列モデルを解析し,実際のビデオデータからパラメタの値を決めて、送信の平均遅延等を計算した. (b) 情報家電端末をつなぐ高速シリアルインタフェースとして,最近製品化が進んでいるIEEE1394プロトコルのスループットと伝送遅延に関する性能を、OPNETというシミュレーションパッケージを用いて評価し,イーサネットのCSMA/CD方式の性能と比較した.
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