研究概要 |
アプリケーションレベルでHTTPメッセージを中継するプロキシサーバは,広域ネットワーク上で効率的に情報を伝達するために重要な役割を果たす.本研究では,プロキシサーバの高度な中継/変換技術を,「高度ネットワーク情報フィルタリング」と呼び,その高度化に必要な要素技術を検討した. 平成9年度では主に,メッセージ中継時に既存のプロキシサーバと連携してコンテンツ変換を行う「共通フィルタサーバ」の設計および試作を行った.プロキシサーバ上でのHTTPメッセージのコンテンツ変換は,HTTPによる情報流通の高度化に向けての多様な可能性を持つ.共通フィルタサーバの設計では,汎用のアプリケーションプロトコル中継サーバであるDeleGateの利用を前提として,DeleGateが持つCFI(Common Filter Interface)と呼ばれるコンテンツ変換機能を,HTTPメッセージヘッダのテンプレートを登録したデータベースを用いて拡張し,一般的なクライアントとの間で動作確認を行った. 平成10年度では主に,プロキシーサーバのアクセスログに焦点をあてて,その統計情報を利用して中継サーバの最適配置や類似クライアントの自動抽出を行うための分析手法を検討した.ここで,大規模サイトにおいては短期間であってもログファイルの量は膨大なものになることから,あらかじめ定めた数学的な情報基準にしたがってログデータを要約することを試み,さらに,要約したデータに対して文献検索の分野で近年注目されている自動索引づけ手法LSI(Latent Semantic Indexing)を適用することで,クライアント間の類似度を求める手法を提案した.また,提案手法を用いて,実際に大規模プロキシーサイトで観察されたログデータを分析し,単純な頻度に基づく方法よりも,クライアント間の類似関係を有効に抽出できることを示した.
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