研究概要 |
人間の動作を測定しコンピュータグラフィックス上で再現するシステムは,モーションキャプチャーと呼ばれている.モーションキャプチャーは,ゲームやアニメーションなどでのキャラクタの動作生成,スポーツにおけるトレーニングの評価,リハビリテーションにおける治療の評価など広い領域で使用されている.しかし,それらの多くは人体に特殊な装置を取りつけたり,予めマーカーを貼りつけることが多く,自然な状態で人間の動作を測定することが難しい.そのため,非接触に人間の動作を測定できる装置が望まれている. 本研究では,市販のビデオカメラを使用することにより,人体に接触することなく自然な動作を測定する手法を提案した.一つのカメラからでは,人体全体を観測することが難しいため,複数のカメラを使って身体動作を測定するシステムを構成した.このシステムを使って野球の投球動作のような素早い動きの測定に成功した.さらに,この測定システムの応用を試みた.一つは動作認識である.測定した人体全体の運動パラメータを動作の特徴を失うことなく2個に圧縮した.これは動作を2次元平面上に視覚化して表せることを意味し,文字認識の技法を用いて動作の認識を行うことが狩野である.実際,ラジオ体操第1に含まれる9種類の動作の認識に成功した.もう一つの応用は,パフォーマンスアニメーションである.この動作測定装置を組み込んだアニメーションシステムを構成し,代表的な演技を測定し動作データベースを作成した.動作をこのデータベースから引用することによりアニメーションを楽に作成することができる.実際,グリム童話の一つを題材に4分程度のコンピュータアニメーションを楽に作成することができる.実際,グリム童話の一つを題材に4分程度のコンピュータアニメーションを制作した.このシステムでは,キャラクタのモデルを動作の測定とアニメーションの作成に共用しているので,動作データのフォーマット変換が不要である.
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