研究概要 |
カメラの前の偏光フィルタを回転させて撮影した動的シーンの画像系列から,画像中の映り込み像を除去し,実像のみを分離する方法を考案した. 考案した手法は,鏡面反射光の偏光を利用したもので,最大最小法と正弦波推定法の二つである.前者は,偏光フィルタの回転で得られた画像集合において,各画素の最小値を実像,"最大値-最小値"を映り込み像として,分離するものである.一方,正弦波推定法は,3つ以上の異なるフィルタ角度での画像から,フィルタ角度に伴う各画素の輝度値の変化(正弦波の形状)を推定して,関数の最大と最小を求めるものである.計算処理は,最大最小法が単純で優れているが,分離精度をあげるのに必要な入力画像数は,正弦波推定法のほうが少なくてすむ. また,波長による,鏡面反射光の偏光度やBrewster角の変化は,無視できるほど小さい.そこで,カラー画像での映り込み分離は,R,G,Bの各チャンネルについて,上記の手法を適用すれば良い. 考案手法を汎用画像処理装置にインプリメントし,実画像による実験を行った.その結果,モノクロ画像では毎秒15フレーム,カラー画像では毎秒5フレームで,満足できる分離が可能であることを確認した.
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