研究概要 |
当該研究者は2年間に渡り健康管理と病気予防を目的とした非拘束小型生体情報計測マイクロシステムの実現を目指して,センサと回路からなるシステムの集積化とパッケージングに必要なマイクロマシーニング技術について基礎研究を行った。 胸部に装着する心電図検出用マイクロシステムについて,生体を伝送路として用いる極低消費電力のテレメトリシステムの小型化・集積化のため,PWM,FM2種類の方式の変調回路と信号増幅回路の設計を行ない電気学会のマルチチップサービスを利用してカスタムIC化した。また,手首に装着する中継器に用いるPLLを用いた復調回路を製作し,テレメータの伝送特性を測定した。変調方式としてFM変調を採用することにより復調した心電図波形の再現性が良好となることを確かめた。引き続き復調回路のカスタムIC化を進めている。経口型消化管内情報検出用マイクロカプセルに用いる圧力・温度・pHセンサを一体化したマルチセンサシリコンチップの試作を行ない圧カセンサ・温度センサの特性を評価した。このセンサはパッケージングを考慮し,リード線をセンサ面と反対側から取るように工夫している。また,pHセンサの信号検出回路・PWM変調回路のカスタムIC化を行ない,動作の確認を行なった。 パッケージングについてはHFを用いたSiO_2-SiO_2低温接合技術について研究を行なった。その結果,室温での接合が可能であることが確かめられた。また,接合時の温度を60℃〜80℃にわずかに上げることにより,接合時間を大幅に短縮することができた。HFの濃度などを変化して最適な接合条件を求め,SiO_2エッチング速度等との関係を明らかにするなど接合のメカニズムの研究を引き続き行なっている。また,低温接合技術を用いた真空封止パッケージングの方法についても検討し,気密封止が可能なことが確認できた。
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