研究概要 |
亜熱帯の西表島、温帯の清水市および寒冷地域の北海道古平町の海洋環境下に1,2,3年間暴露したコンクリート供試体を回収し、単位容積質量、動弾性係数、超音波伝播速度、圧縮強度,静弾性係数、中性化深さ、自然電位、塩分含有量および鉄筋の腐食量の測定を行った。また、亜熱帯の海洋環境下に建設された築後25年経過した鉄筋コンクリート桟橋の耐久性調査を行った。その結果、以下の知見が得られた。 1.単位容積質量比は、暴露環境に関係なく暴露前の値より低下する傾向がみられる。 2.海上大気中に暴露した圧縮強度は、暴露前の強度より大きくなっており、特に水セメント比が大きい場合に顕著である。亜熱帯と温帯地域の強度に大差は見られない。 3.中性化深さの実測値と推定値は、どの暴露環境においても小さいが、亜熱帯、温帯地域では降雨、寒冷地域では積雪が影響したものと考えられる。 4.海上大気中に暴露した場合、暴露地に関係なく塩分量は0.1%以下となった。海中においては水セメント比に関係なく、表面から2cmまで0.4%以上を示した。水セメント比50,70%では0.1%以上の塩分量は深さ4cmまで達した。 5.寒冷地域に暴露した鉄筋の自然電位は、他の環境に暴露したものより小さい。 6.海上大気中に暴露した場合、鉄筋の腐食量は寒冷地に暴露したものより、亜熱帯、温暖地域に暴露した方が大きい。 7.25年経過したコンクリートの圧縮強度と建設時の配合強度を比較すると、前者は後者の約84%の強度を示した。また、干満作用を受ける床版部材の圧縮強度は、他の床版部材の強度より大きい。 8.建設後25年経過しているのである程度の炭酸化を予想したが、降雨や干満作用の影響によって炭酸化はほとんど見られなかった。 9.床版部材の鉄筋の腐食は、スプラッシュを受ける部分が干満作用を受ける部材より鉄筋の腐食量が大きい。
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