研究概要 |
本研究では,環境保全を考慮に入れたコンクリートの配合及び練混ぜ方法から建設後の劣化の予測によるコンクリート構造物の長寿命化システムを確立することを目的とした。そのため,練混ぜた後にコンクリート中のセメント粒子の分散によるセメント粒子の凝集構造及びブリーディングの機構,セメント粒子の凝集構造によるセメントの水和反応速度の機構,水和生成物や細孔構造の生成する機構,浸透理論を用いる物質移動の機構及びコンクリート劣化の機構を検討した。 本文の結果より次のことが明らかになったと思われる。 (1)小さな凝集体を構成させると、比表面積が増し、吸着する非移動水分が増加し、ブリージング率が減少する。 (2)小さな凝集体を構成させると、セメント粒子と水の接水面積が増し、より反応性が増加する。 (3)小さな凝集体を構成させると、細孔構造のより均一な組織を形成し,圧縮濃度が増大する。しかし,骨材の存在があると,高い水セメント比の場合は逆な傾向になっている。 (4)セメント粒子の凝集構造によるセメントの水和反応速度をモデル化にすることが可能である。 (5)浸透論を用いることによってコンクリート中の物質移動をモデル化にすることが可能である。 今後の課題としては,環境保全に有効で経済的・適切的なコンクリートの配合を定めるために,上記の結果にコンクリートの劣化の機構及びコンクリート構造物のライフサイクルコストの機構を加えてコンクリート構造物の長寿命化システムのシュミレーションプログラムを作成する。
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