研究概要 |
RCおよびPC製構造物は、大地震や巨大落石あるいは土石流によって脆性的に破壊しやすい。このような生起確率は低いが巨大なエネルギーを有する荷重に対しては、構造物あるいは部材の塑性変形(靭性)によってエネルギーの吸収が図られるべきであることが提案されるようになってきた。そのためには、エネルギー吸収能の優れた部材の開発と評価方法の確立が不可欠である。 本研究は,RCおよびPC製構造部材の鉄筋をコンクリート充填鋼管(CFST)で置き換えることにより新しい複合構造部材を開発し、高エネルギー吸収能を必要とする土木構造物へ適用することを目的としている.本研究成果報告書は,そのための基礎的研究結果を以下のような項目についてとりまとめたものである。 1. コンクリートと充填鋼管(CFST)の付着強度に関する押し抜き強度試験 (1) 有孔鋼管を用いてコンクリートダウエルを形成し,ダウエルのせん断強度を利用した。 (2) 接着剤や鋼管表面のサンドブラスト処理による鋼管とコンクリート界面の付着力を増加させた。 2. 鋼管コンクリート複合はりの静的曲げ試験および落錘衝撃載荷試験 CFSTを圧縮補強鋼材とすることにより靭性(変形能)が著しく向上することを実験的に確 認した。 3. 鋼管コンクリート複合柱の軸カ-曲げ載荷実験 地震荷重のような交番曲げが作用する鋼管コンクリート複合柱では,有孔鋼管の孔が欠陥 となる。 4. 鋼管コンクリート複合はりの実構造物への応用 鋼管コンクリート複合はりの優れた変形能を落石覆工へ応用するための設計例を示し,1/2モデルはりの曲げ実験により,高靭性を必要とする落石覆工に有用であることを確認した。
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