研究概要 |
近年の河川は治水、利水の機能に加え、自然環境の保護・回復を目指した改修を行わざるをえなくなってきている。いわゆる、多自然型河川工法の一つにワンドがあり、自然形成されたワンドは、それを維持することが容易であると考えられるが、人工的に形成されたワンドでは、必ずしも理想的な場所に、理想的な形として形成されるとは限らないのでその維持が容易ではない場合もある。 本研究では、人工ワンドの設計法に役立てられる基礎的な情報を得るために、室内の実験開水路に小規模のワンドを設置し、ワンド内の流れの特性、ワンド内への土砂堆積について調べたものである。流れの計測から、ワンド内には本質的に土砂が進入しやすい流れの構造となっていることが明らかとなった。そこで、ワンド内へ進入する流況を変えて、土砂進入を防ぐ工法として、ワンドと本線の境界に設置するベーンを選択し、土砂進入の抑制効果がもっとも高いベーンの角度について検討した。実験水路のワンドの寸法は開口幅8cm、奥行き8cmの正方形で、水深が4.5cmの等流で実験を行った。ベーンは長さ4cm、高さ1.5cmとし、これを開口部中心に角度0,1/10,1/5(上流側がワンド側へ、下流側が本川側に向く方向)で設置し、それぞれについて、上流で供給した土砂のワンド内への堆積状況を観測するとともに、流れの状況を可視化により観察した。土砂の堆積量はベーンの角度が0の時が最小で、ベーン設置のない場合の約1/3の堆積量、角度が1/5,1/10の場合はほぼ同量で、ベーン設置のない場合の約1/2の堆積量となった。以上により、ベーンはワンド内への土砂堆積抑制の効
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