研究概要 |
流れと橋梁橋脚の相互作用に関しては,我が国においては,橋脚周囲における局所洗掘が重要となっている.これに対して,結氷河川に建設される橋脚の設計においては,水盤が橋脚上部工に及ぼす影響について十分な注意がはらわれねばならない. カナダ,米国,それなロシアの設計示方書においては橋脚に及ぼす氷の影響を考慮している.その中で橋脚の設置位置,設置間隔については上部工や基礎工だけでなく,氷盤のことも配慮すべきことが述べられている. 本研究は,流下する氷盤が橋脚によって阻止され,アーチを形成する条件を実験的に調べたものであるが,これはIce Jamを起こさないための橋梁のスパン割り決定に役立つとともに,氷盤移動を制御するための施設の配置を決定するのにも役立つと考えられる. 氷盤のアーチ形成に関する実験は長さ10m・幅0.8mの開水路をレベルにして用いた. この水路に模型氷を流すため,600枚の模型氷を0〜16cm/secの速度で自由に送り出すことが可能なフィーダーを設置し,実験を行った.実験結果をまとめると (1) 橋脚の径間におけるアーチ形成条件は,模型氷が水路表面を覆う割合(カバー率):Qi,模型氷の代表的な長さ:aと橋脚の径間距離b:との比=a/b,それに表面流速:Vと重力加速度g:,氷厚:hの無次元量=V^2/ghによって決定される. (2) 模型氷の厚さに対するフルードの相似則が満足されていることが判った. (3) 橋脚の断面形状が同じとき,橋脚が水面に垂直な場合と60゚の傾斜を持っている場合を比べると,60゚の傾斜角を持つ橋脚の方がアーチができやすいことが判った. (4) 同じ傾斜角(θ=60゚)を持つ橋脚において,断面形状を小判型とくさび型にし,実験を行った結果,くさび型断面の方がアーチが形成されやすいことが判った.
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