研究概要 |
1999年2月研究代表者の岡本が急死したため,本年1999年度の研究は服部が研究代表者を受け継いだ.人工衛星CCDエリアセンサーは極端に狭い画角を持っていて,従来の中心投影式と異なり,アフィン投影式で標定計算した方が安定であることをこれまでに明らかにしている.本年度の主たる結果は次のようである. 1.現実には人工衛星のためのCCDエリアセンサーはまだ開発されておらず,同じ性質を持ったズームレンズCCDカメラを使って,シミュレーションおよび実験で計測精度を確認した.これは岩盤の落下のモニターやトンネルでの内空変位の計測に応用できる.とくにフリーネットワークによる精度向上に成果を得た. 2.1999年秋に人工衛星IKONOSが打ち上げられ,にわかに高精度地形図の作成が現実のものとなった.われわれはこれまでの成果をより現実的な標定,図化法に収束させ,衛星SPOTおよびMOMS-2P画像に対してアフィン投影方式での処理を確立した.これによって今後IKONOSの図化にも実用できると思われる. 3.DTMないし画像のマッチング結果から,アフィン投影を基礎とするオルソ画像の作成を行った.これに伴い最低の数の基準点から高い精度のオルソ画像を作るシステムを実験的に組み上げた. 4.ディジタル図化機をパソコンベースで作成し,近似的なエピポーラ幾何を使ってアフィン投影画像を図化するアルゴリズムを作って組み込んだ.図化速度,精度とも十分実用に耐えることを実験的に示した. 5.工業計測にディジタル写真測量を応用し,橋梁,船舶などの大きな工業製品の製造精度を精密,かつ高速に計測する手続きを開発した.高速化は特殊なターゲットの設計と自動マッチングで実現した.
|