研究概要 |
本研究では錯綜した交通場面の運転者行動を,(1)実走による高齢ドライバーの合流運転挙動の解析,(2)CG映像を用いた高齢ドライバーの判断能力の分析,(3)ドライビングシミュレータを用いた室内実験の信頼性評価とトンネル進入部の交通環境評価という側面から研究した.それぞれの成果を以下にまとめる. (1) 実走による高齢ドライバーの合流運転挙動の解析 観測調査結果から,合流部における高齢者の運転特性を調査し,非高齢者との比較から今後の交通計画,道路改良のあり方を検討をするために以下に示す分析を行った. ・自由走行時における合流特性に基づく自然な合流形態の把握および合流形態別の解析 ・上記解析結果に基づく高齢ドライバーの合流に対する選好特性の把握 ・合流形態別の車頭時間に関する分析 (2) CG映像を用いた高齢ドライバーの判断能力の分析 道路案内標識の判読性を評価するために,以下の点について検討を行った. ・1) 文字の大きさと判読距離との関係,2)漢字の字画数と判読距離との関係,3)標識の判読距離に対する自動車の走行速度の影響の観点からみたCG実験と実物実験の結果の対応に関する検討 ・ 地名判断および方向判断を対象とした判読時間の計測 (3) ドライビングシミュレータを用いた室内実験の信頼性評価とトンネル進入部の交通環境評価 現実には存在しない道路区間での実験を可能にすること,および高齢者など走行中の安全性に配慮しなければならない被験者を対象とした実験を可能にすることを目的として,バーチャルリアリティ技術を応用して,高速道路の擬似走行体験や運転行動データの収集が可能なドライビングシミュレータを開発した.そして開発したドライビングシミュレータの再現性の精度やそれから得られる運転者行動のデータの信頼性および実験方法について検討した.その結果,速度・アクセル使用量・注視点・トンネル進入時の速度低下について,その再現性を確認した.さらに,トンネル坑口形状と運転者行動との関係について分析を行った結果,坑口にグラデーションペイントを施すことに効果があることを明らかにした.
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