研究概要 |
水のCryptosporidium汚染問題と水道における対応策立案に資するため,平成9,10年度の2カ年にわたって,相模川水系におけるCryptosporidium等原虫汚染実態調査と汚染指標の検討,オゾン及び電子制菌システムのCryptosporidium parvumオーシスト殺滅効果に関する研究を行い,それらの成果を基に,浄水処理システムにおける対応のあり方について議論を加えた。 実態調査及び実験により得られた知見は次のとおりである。 相模川における汚染実態調査では,CryptosporidiumオーシストとGiardiaシストにより広範に汚染されており,Cryptosporidiumは1-11,000オーシスト/100L(幾何平均24/100L),Giardiaは1-20,000シスト/100L(幾何平均12/lOOL)にも達することを明らかにするとともに,原虫シスト・オーシストとウェルシュ菌芽胞に有意な相関があり,単一指標としてはウェルシュ菌が,複数の組み合わせ指標とする場合は,ウェルシュ菌の他に,好気性芽胞,E.coliが代替評価指標となりうることを示唆する結果を得た。 オゾン処理と電子制菌システムのCryptosporidium parvumオーシスト殺滅効果を実験により評価した。オゾンは0.3-0.5mg/L付近の濃度における2log_<10>不活化CT値は感染評価で3-6mg・min/Lであることを明らかにした。電子制菌システムでは,カーボングラファイト8層の積層により通電状態ワンパスで2-3log_<10>の物理的除去が可能であること,カーボングラファイトに捕捉・抑留されたオーシストは流入側から流出側に向かって不活化率が上昇し,第6-7層に抑留されているオーシストの不活化率はPI排除能評価で,24時間通電で40%程度,77時間通電で80%以上に達することを明らかにした。
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