研究概要 |
本研究では,(1)コンクリートのモデル供試体を用いてJIS原案に示された方法で乾燥収縮ひび割れ実験を実施し,(2)有限要素法(F.E.M.)を用いた乾燥収縮応力解析システムを開発し,(3)実験結果との比較からひび割れ発生の予測の可能性を探った。 (1)拘束鋼材に貼付したひずみゲージによって測定したひずみ(ひずみ分布)から拘束コンクリートに負荷される引張応力(平均応力)を算出できる。ひび割れ発生時の平均応力は乾燥開始材齢の違いに関わらずコンクリートの直接引張強度の70〜80%程度であることがわかった。 (2)普通コンクリートと同一の呼び強度,スランプ(呼び強度24,スランプ18cm)を持つ軽量I種コンクリートの乾燥収縮ひび割れに関しては,乾燥開始材齢が遅くなるほどひび割れの発生時期も遅くなる傾向を示した。同時に実施した普通コンクリート供試体にはひび割れの発生は認められず,乾燥収縮ひび割れは軽量コンクリートの方が発生しやすいことがわかった。圧縮クリープ実験では載荷時材齢を3,7,28日として,載荷荷重は強度の30〜35%に設定し,シール状態(Basic Creep)および乾燥過程下(Total Creep)のクリープひずみを測定した。その結果,Basic CreepおよびTotal Creepともに,軽量コンクリートはほぼ同一のひずみ量を示すことがわかった。 (3)若材齢時から乾燥開始した場合を対象にした有限要素法(F.E.M.)による応力解析システムの開発し,応力解析を行った。ひび割れの発生に関して,供試体内の応力分布とコンクリートの直接引張強度を比較し,その比(引張強度比)が1を超える範囲の面積を全断面に対する割合として算出したが,乾燥開始材齢の違いに拘わらずその割合が40〜50%程度に到達した場合ひび割れが発生することがわかった。
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